2026年09月17日 00:00
企業リストは「非上場」で絞ってあります。そこに、そもそも上場という概念がない組織が混ざっています。
ホクレン農業協同組合連合会1兆6,827億円。生活協同組合コープみらい4,364億円。生活協同組合コープこうべ2,694億円。みやぎ生活協同組合1,260億円。
株式会社ではありません。 株主がいないので、上場も非上場もない。では、これらは誰のものなのか。
根拠になっているのは、消費生活協同組合法(昭和23年7月30日法律第200号)。1948年の法律です。
消費生活協同組合の仕組み
議決権が出資割合によらず平等。 ここが株式会社と決定的に違います。1万円出した人も100万円出した人も、1票です。株式会社なら持株数で決まるところが、頭数で決まる。
そして出資金は脱退時に払い戻されます。 株式のように市場で売買するものではなく、預けているお金に近い。だから上場という発想が出てきません。
実際の金額を見ると、規模が分かります。
| 組織 | 組合員数 | 出資金 |
|---|---|---|
| コープみらい | 約302万人(2014年3月) | 714億円(2023年3月) |
| みやぎ生協 | 約95万人(2020年3月) | 421億2,315万7,000円(2020年3月) |
| コープこうべ | 約172.8万人(2023年3月) | 359億円(2021年3月) |
1人あたりにすると、コープこうべが約2万800円、コープみらいが約2万3,600円、みやぎ生協が約4万4,300円。組織によって倍以上の開きがありますが、いずれも個人が出せる額です。 その積み上げで、数百億円になっています。
数字を見ていて、いちばん驚いたのがこれでした。
みやぎ生活協同組合の、宮城県内の世帯加入率は75.1%。
4世帯に3世帯が組合員です。福島エリアでも29.2%。組合員約95万人、職員8,195人、事業高1,259億9,840万3,350円(2020年3月期)。
小売業のシェアとして見ても異常な数字ですが、これは「客の割合」ではなく「出資者の割合」です。宮城県の世帯の4分の3が、この組織に出資して議決権を持っている。
設立は1982年3月21日で、今回調べた中ではいちばん新しい組織です。
設立年を見ると、2つが戦前でした。
ホクレン農業協同組合連合会の設立は1919年4月18日。札幌市中央区にあり、取扱高1兆6,826億7,500万円(2025年3月期)、職員1,799名(出向者・嘱託を除く)。地域のJAを通じた営農支援、資材・エネルギー供給、農産物・畜産物の流通を担っています。
コープこうべは1921年4月12日設立。神戸市東灘区住吉本町。記事には、那須善治による灘購買組合の設立と、賀川豊彦の助言が記録されています。供給高2,694億4,000万円(2021年3月期)、職員9,456人、組合員約172.8万人。
いずれも100年を超えています。これまで調べた会社では、剣菱酒造のルーツが1505年、中北薬品が1726年と、もっと古いものがありました。ただ「株式会社でない形で100年続いている」のは、また別の話です。
対照的にコープみらいは2013年3月21日設立で、まだ13年です。ただしこれは新設ではなく、ちばコープ・さいたまコープ・コープとうきょうが合併してできたもの。存続法人はさいたまコープでした。組合員約302万人、正規職員4,042人に加えてパート・アルバイト職員が1万732人います。
個々の組織だけでなく、全体の数字も記録されていました。2005年末時点のものです。
| 組合数 | 1,097組合 |
| 組合員数 | 6,032万人 |
| 出資金 | 1兆1,300億円 |
| 購買事業高 | 2兆9,256億円 |
| 店舗数 | 2,668店 |
組合員6,032万人。 日本の人口の半分近くです。20年前の数字なので現在とは違いますが、桁として見れば、生協は日本でいちばん組合員の多い組織形態のひとつということになります。
それでいて、企業リストの上では「小売業」の1行として、株式会社と同じ列に並んでいます。
このブログでは、会社の持ち主を何度も辿ってきました。
医薬品卸は全国大手の系列、ドラッグストアは上場持株会社の事業会社、乳業は酪農家が出資した会社と大手系列の混在、百貨店は創業家・鉄道会社・上場企業。どれも「株式を誰が持っているか」の話でした。
協同組合では、その問いの形が変わります。株式がありません。 出資しているのは使っている人で、議決権は頭数で平等、出資金は辞めるときに返ってくる。
企業リストの「非上場」欄には、上場しない選択をした会社(サントリー)と、上場企業の子会社(クスリのアオキ)と、上場という概念がない組織(今回の5つ)が、同じ言葉で並んでいます。
同じ欄に入っていても、意味は3通りありました。
| 会社 | 所在地 | 売上高(億円) | 売上の出典 | 従業員 | 1人当たり(万円) | 創業 | 組織の形 | 主力 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ホクレン農業協同組合連合会 | 札幌市中央区 | 16,826.8 | 2025年3月期 | 1,799 | 93,534 | 1919 | 農業協同組合連合会 | 農産物・畜産物の流通 |
| コープみらい | さいたま市南区 | 4,364.4 | 2022年3月 | 4,042 | 10,798 | 2013 | 消費生活協同組合 | 店舗134・宅配 |
| コープこうべ | 神戸市東灘区 | 2,694.4 | 2021年3月期 | 9,456 | 2,849 | 1921 | 消費生活協同組合 | 食料品・宅配・電力 |
| みやぎ生活協同組合 | 仙台市泉区 | 1,260 | 2020年3月期 | 8,195 | 1,538 | 1982 | 消費生活協同組合 | 店舗・共同購入・共済 |
| 熊本県酪農業協同組合連合会 | 熊本市東区 | 624 | 年次の記載なし | 270 | 23,111 | 1954 | 農業協同組合連合会 | らくのう牛乳 |
消費生活協同組合法(昭和23年7月30日法律第200号)の仕組み、議決権が出資割合によらず平等であること、員外利用の制限、2005年末時点の全国の数字(1,097組合・組合員6,032万人・出資金1兆1,300億円・購買事業高2兆9,256億円・店舗2,668店)、各組織の事業高・職員数・組合員数・出資金・設立年は、いずれも Wikipedia 日本語版の記載に拠ります。法律の条文そのものには当たっていません。
全国の数字は2005年末時点で、20年前のものです。現在の数字ではありません。
基準年がそろっていません。 コープみらいは供給高が2022年3月・組合員数が2014年3月・出資金が2023年3月、コープこうべは供給高が2021年3月期・職員数が2023年3月・組合員数が2023年3月・出資金が2021年3月です。本文の1人あたり出資金は、この年次のずれを含んだ概算です。組合員数と出資金の時点が最大9年離れている組織があります。
この記事では1人当たり事業高を出していません。 職員数の基準が組織ごとに違うためです。コープみらいの4,042人は正規職員のみで、ほかにパート・アルバイトが1万732人います。熊本県酪農連の270名は「職員数」で、事業高の年次も不明です。
みやぎ生協の世帯加入率75.1%は、記事の記載をそのまま引いたものです。算出方法や時点の詳細は書かれていません。
熊本県酪農業協同組合連合会の624億200万円には年次の記載がありません。 乳業の記事でも同じ注記をしています。
5組織は、公的オープンデータから作った企業リストから選んでいます。
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