2026年09月26日 00:01
企業リストで銀行業を引くと、非上場で本社が東京にない会社が75社ありました。上から並べると、こうなります。
全部、名前を知っている銀行です。そして全部、株式市場では買えません。
理由は2つありました。
ひとつめは、銀行持株会社です。
日本では1998年に独占禁止法が改正され、金融持株会社の設立が解禁されました。銀行を子会社にする持株会社を作るには、銀行法にもとづいて内閣総理大臣の認可が要ります。
この形にすると、上場するのは持株会社のほうで、銀行そのものは完全子会社になります。福岡銀行は2007年3月27日に東証1部・大証1部・福証のすべてで上場廃止となり、同年4月2日に熊本ファミリー銀行との共同株式移転でふくおかフィナンシャルグループが設立され、9月28日付でFFGの完全子会社になりました。
銀行がなくなったわけでも、地元から離れたわけでもありません。上場している名義が、銀行から親会社に移っただけです。
いちばん分かりやすいのが中国銀行(岡山市)でした。この銀行は2022年9月29日まで東証プライムに上場していて、2022年10月3日、当行単独の株式移転でちゅうぎんフィナンシャルグループを設立しています。
合併相手はいません。自分ひとりで親会社を作り、自分はその完全子会社になったわけです。銀行の中身は1930年12月21日設立のときから続く岡山の銀行のままで、変わったのは上場している法人の名前だけです。
企業リストの上位はほとんどこの形でした。りそな銀行はりそなホールディングス、横浜銀行はコンコルディア・フィナンシャルグループ、静岡銀行はしずおかフィナンシャルグループ、山口銀行・もみじ銀行・北九州銀行は山口フィナンシャルグループ。同じグループの銀行が、別々の会社として3つ並びます。
ふたつめは、株式会社ですらない金融機関です。
信用金庫は信用金庫法にもとづく協同組織金融機関で、株式会社ではありません。大阪信用金庫は1920年2月12日の設立、預金量2兆7,824億円(2019年9月)、従業員1,352人、店舗74。大阪府に本店を置く信用金庫では最大です。
会員が出資して作る組織なので、上場という選択肢が最初からありません。「非上場」の欄に入るのは当然で、独立性の話とは関係がありません。
株式会社でない5組織を調べたときに見たのと同じ構造が、銀行の一覧にも混ざっていました。
もうひとつ、リストの作りが見える例がありました。
みちのく銀行(317億円)と青森みちのく銀行(314億円)が、両方入っています。
青森銀行とみちのく銀行は2021年5月に経営統合で基本合意し、2022年4月に共同持株会社のプロクレアホールディングスを設立、2025年1月1日に青森銀行がみちのく銀行を吸収合併して「青森みちのく銀行」になりました。いま青森県に本店を置く銀行はこの1行だけで、県内シェアは8割です。
つまり、吸収されて消えたほうと、吸収して残ったほうが、同じ表に並んでいます。情報・通信業を調べたときのNTTドコモ地域会社と同じで、消えた会社は消えた年の数字を持ったまま残ります。
このリストで「非上場・本社が東京以外の銀行」を数えると75になります。しかしその中身は、
の集まりでした。独立して単独で経営している地方銀行の数を知りたいなら、この数字は使えません。
建設業を調べたときは、非上場の欄に「買われて上場をやめた会社」が入っていました。銀行では、それが制度としてほぼ全員に起きています。上場をやめたのではなく、上場する主体が一段上に移った、というだけの話です。
| 会社 | 所在地 | 売上高(億円) | 売上の出典 | 従業員 | 1人当たり(万円) | 設立 | 区分 | いまの立場 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| りそな銀行 | 大阪市中央区備後町 | 7,782 | 2026年度(経常収益) | 8,759 | 8,885 | 1918 | 持株会社の傘下 | りそなHD完全子会社。旧・大阪野村銀行 |
| 福岡銀行 | 福岡市中央区天神 | 4,416 | 企業リスト(2026年) | 3,528 | 12,517 | 1945 | 持株会社の傘下 | 2007年3月に上場廃止しFFGへ |
| 中国銀行 | 岡山市北区丸の内 | 1,170 | 2021年3月期(経常収益・連結) | 3,171 | 3,690 | 1930 | 持株会社の傘下 | 2022年に単独株式移転でちゅうぎんFGへ |
| 大阪信用金庫 | 大阪市天王寺区 | 440 | 企業リスト(年次なし) | 1,352 | 3,254 | 1920 | 協同組織 | 信用金庫法にもとづく協同組織 |
| 青森みちのく銀行 | 青森市橋本 | 314 | 企業リスト(2021年) | 1,183 | 2,654 | 2025 | 持株会社の傘下 | プロクレアHD 100%。県内シェア8割 |
75社は、公的オープンデータから作った企業リストの「非上場・本社が東京以外」で銀行業を絞ったものです。県別では大阪府7、広島県6、福岡県5、北海道5、新潟県4と続きます。
各行の沿革・上場廃止の日付・持株会社との関係は、いずれもWikipedia日本語版の各記事に拠ります。有価証券報告書やディスクロージャー誌では取り直していません。金融持株会社が1998年の独占禁止法改正で解禁されたことも同様です。
銀行の「売上高」は経常収益です。事業会社の売上高と同じ意味ではないため、他業種の記事と並べて大小を比べることはできません。
年次と基準がそろっていません。りそな銀行の7,781億7,000万円は2026年度、中国銀行の1,169億円は2021年3月期の連結経常収益、福岡銀行・青森みちのく銀行・大阪信用金庫は企業リストの値です。
青森みちのく銀行の314億円は、企業リスト上の年次が2021年です。この銀行が発足したのは2025年1月1日なので、発足より前の年次が付いた数字ということになります。前身の青森銀行の値が引き継がれた可能性がありますが、確認できていません。
大阪信用金庫の預金量2兆7,824億円は2019年9月時点、従業員1,352人と店舗74はWikipedia日本語版の記載です。リストの440億円が何を指す値なのかは特定できていません(経常収益と思われますが、年次の記載がありません)。
表の「設立」は、その名前の法人ができた年です。福岡銀行の1945年3月31日は設立年で、創業は1877年(明治10年)の第十七国立銀行までさかのぼります。りそな銀行の1918年は大阪野村銀行としての設立で、りそな銀行という名前になったのは2003年3月1日(大和銀行とあさひ銀行の合併)です。青森みちのく銀行の2025年は合併による発足年で、前身の青森銀行はそれ以前から続いています。
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